薬師岳(南アルプス)
1999.12.30-2000.01.01

1999年暮れから2000年正月にかけて南アルプス鳳凰三山の一つ、薬師岳に行って来ました。
鳳凰は15年ぶり3回目です。前回2回は5月連休でしたが今回初めて冬に挑戦です。
今回は北岳の写真がメイン。カメラは星の写真も撮りたかったので寒さに強いメカニカルのニコンFE2、
メインはペンタックス67、そして記録用のリコー132万画素デジカメです。


1999.12.30※このページの写真は全てデジカメです
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鳳凰三山登山口(夜叉神トンネル手前駐車場)
12/30の明け方2:30、池田の自宅を出発。年末と言うこともあり結構交通量が多い。皆スキー場の方に向かっているようだ。豊科インターから韮崎インターまで順調に進み約1時間。ここから夜叉神峠登山口まで40分。安曇野からは2時間弱で到着。登山口の駐車場は半分位埋まっている。
初夏に北岳に行こうとして豪雨のためここで足止めを食ってやむなく引き返したことが思い出される(T_T) まだ暗いので夜が明けるまで軽くパンなどを食べる。6:30になってようやく明るくなってきたので歩き始める。今回はかなり荷が重い。何と言っても今回は北岳の写真が撮りたかったのでカメラの比率が大きい。35kg。恐らく今までの山行で一番重かったのではないだろうか。三脚もペンタックス67に対応すべく新調したがこれだけで5kg以上ある。地図のコースタイムでは夜叉神峠まで1時間とあるが1時間半かかる。この先が心配である。
夜叉神峠小屋前8:20発
夜叉神峠には8:00少し前に到着。雪をかぶった白峰三山が迎えてくれる。しかし、雪が少ない!まるで晩秋のようだ。明日お世話になる夜叉神峠小屋に挨拶しにいったら、暖かいコーヒーとミカンをいただいた。鳳凰の雪の状態を確認したら笑って「ないですよ〜」と言われてしまった。50cm位ですか?と恐る恐る聞いてみる。「とんでもない10cm以下です」「間の岳の吹き溜まりでも40cm位でしょう」との返事。私「・・・・・」。持ってきたアイゼンとピッケルは無用の長物となりそうだが一応持っていくことにする。これが後で助かることになる。ゆっくりしたかったが、ここまでで時間をオーバーしていてこの先心配だったので8:20出発。とりあえずの目標はここから見えている大崖頭山。名前の通り、東側斜面が大きく崩壊している。
杖立峠標識
夜叉神峠を出ると、すぐ樹林帯に入り展望がきかなくなる。1時間ほど歩くと突然両足の太腿が痙攣する。しまった!10日前に体調を崩して点滴を打っていたが体力がまだ回復していないのか。すぐ休憩して暖かいココアを飲み、体を温めて歩き出すがすぐまた痙攣である。困った。ここでは雪は無かったが足への負担を少しでも軽くしようとピッケルを取り出す。少しは効果あり。あとは体を冷やさないようにマウンテンジャケットを着込む。大崖頭山近くの杖立峠に着いたのはコースタイムを1時間オーバーした11時過ぎであった。
 杖立峠の標識を過ぎると一端少し下りまた緩やかな樹林帯の登りが続く。途中、年の頃は70を超えていそうな人に出会う。何と荷物が二つあり、片方づつ背負って30分位の区間を何回も往復していながら登っている。あくまでマイペースで登るその姿に元気づけられたのであった。
南御室小屋14:30発
1時間ほど登ると展望が開ける。かつての山火事の跡だ。15年前に比べて樹木がかなり伸びている。最近買った地図には山火事跡の表記はない。いづれ元の森に戻っていくのだろう。展望が無くなり残念であるが仕方がない。ここは南斜面で暖かいので先ほどの痙攣も治まった。
苺平まで来るとあたりは白一色となる。しかし積雪は10cm位。一応冬山の気分になる。
 南御室小屋には13:45着。ここで薬師岳小屋の予約の確認をして遅い昼食とする。小屋の脇には豊富な湧き水があり補給する。暖かい物を食べて十分休憩したのでこの先は心配していた太腿の痙攣もなく順調に登った。南御室小屋を境に山の地質が大きく変わったのがわかる。ここからは甲斐駒山脈特有の花崗岩が露出している。
やっと森林限界を出たのは16:00であった。目の前にシルエットになった北岳が大きい。この山は何回登ったであろうか。夏は豪雨で敗退したが、また懲りずに北岳草を見に行きたい。このまま小屋に入ってしまうのはもったいなかったので少し手前の砂払岳で日没を待つことにする。三脚を立ててカメラを構えた人3人。皆富士を狙っている。赤くなるのを待っているようだ。しかし富士も雪が少なく黒い地肌を露出させている。私は反対の白峰を見ていた。大きい花崗岩の上に陣取り静かな夕暮れを堪能した。ここまでの苦労が報われる・・・。
砂払岳から薬師岳

薬師岳小屋16:30着
撮影を終わり薬師岳小屋に入る。ここは15年前と変わっていない、こぢんまりとした山小屋だ。南アルプスらしい。年末と言うこともあってかなり人が多いがそれでも畳1枚に一人分は確保できたので快適に眠ることが出来た。翌朝は早起きして日の出を迎えたかったので夕食のみとした。(¥6500)


1999.12.31

1999.12.31薬師岳山頂にて・・・
12/31 4:30起床。5:30までに食事を済ませ、月明かりの中薬師岳山頂へ・・・。まだ暗く、頭上には星が瞬いている。10分で山頂の一角に到着。大きい平らな花崗岩の上に三脚を据えて夜明けを待つ。北岳と星の組み合わせで写真を撮ろうとしたが北岳の上には目立った星が無いので明日の夜叉神峠で撮ることにする。日の出までにはかなり時間があったが刻一刻と空や山の色が変わっていき、大変美しい!7:00頃日の出。67、35mmと忙しくカメラのシャッターを切る。気が付くともう8時半であった。

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黎明の白峰三山
朝日に輝く北岳
写真を撮り終わり帰路につく。砂払岳を過ぎるとすぐ樹林帯に入ってしまい、残念だ。ここからまたしばらく白峰三山の展望とお別れである。南御室小屋10:00着。少し早い昼食とする。ここは日が当たらず寒い。こぼした水がみるみる凍っていく。
これに対して山火事跡は南面で暖かい。座って休憩するとつい眠くなってしまう。
昨日苦しみながら登った道をただひたすら下る。大晦日と言うこともあり登ってくる人が多い。今日は上の小屋は相当の混雑であろう。この日の宿の夜叉神峠小屋には14:40着。
夜叉神峠小屋 14:40着
小屋について外のベンチでくつろいでいると、ネットの知り合いのラインハルトさん(ハンドルネーム)が後ろから声をかけてきた。お互い5月の燕岳以来の再会を喜び合う。彼とはメーリングリスト等で山岳写真が共通の話題でやりとりしている。私とは逆に明日鳳凰に登るそうだ。日没が近くなり彼の奥さんも含め三脚を3台並べて撮影する。準備している時は色々と話をしていたが撮影している間はお互い無言である。この緊張感もまたいい。
 夜叉神小屋は今年から自炊となった様だ。ただし今年はみそ汁とご飯に限り提供出来るとのことである。私は持ってきたフリーズドライのカルボナーラを食べる。なかなかうまい!自炊している時は一人だと寂しいものであったが今日は違う。ラインハルト夫妻と色々と楽しく話をしながらなので時間が経つのが早い。ここの所、単独の山行が続いていたので本当に楽しく過ごせた。
夜叉神峠にて(ラインハルト夫妻と・・・)1999.12.31
夜は昨日撮れなかった星と山の写真と言う課題があった。4:00頃起きて外へ出るとちょうど冬の賑やかな星が白峰三山に沈みかかっている。持ってきた感度400のフィルムをセットし色々と条件を変えて撮影する。うまく撮れたか?
夜明けには赤く染まった白峰三山を撮影する。8時頃まで撮影し、ラインハルトさん達を見送って帰路につく。駐車場まで約1時間。2000年元旦の朝は暖かく穏やかな晴天であった。

                                                     以上